ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます

人工知能と直感  囲碁AIと将棋ソフト

NHKスペシャル人工知能 天使か悪魔か という特集がやっていました。

それで、ある人とその感想を話していたんですけれど、その人いわく「AIは答えを出してくれるけれど、その理由を教えてくれない」というところがどうしても理解できないということだったんですね。

たしかにいきなり答えを提示してくるというのは分かるけれども、AIも計算結果をもとにその答えを導き出したのだから、計算の過程を見ていけばどういう風に考えたのか解釈できるのではないか、と。

なぜAIは理由を示してくれないのか。いろいろ議論したんですけど、あんまり納得いく説明にならないようで。

そして最終的に行き着いたのが、「直感」という説明です。

棋士は盤面を見てぱっと手がひらめいて、そのひらめいた手を深く読んでいくと言われています。だから、なぜそんな手を思いついたの?と羽生名人に尋ねても、答えられない。思いついたから思いついたんだと、「直感」としか答えられないわけです。

AIも実は同じではないかと。なぜAIがその答えを導き出したのか説明できない。AIがそう言っているとしか言えない。まさに直感を説明できないのと似ています。

 

もちろん人間の頭脳と人工知能の仕組みは異なる、というのはそうでしょう。でも、じゃあ人工知能とは何かって言いだすと、結構曖昧だったりします。

松尾豊さんが書いた『人工知能は人間を超えるか』という本があります。

 

 この本は「第1章 人工知能とは何か―専門家と世間の認識のズレ」となっていて、専門家の間でも人工知能の認識が異なっていることが書かれていて、面白いです。

そのなかで大阪大学の浅田先生は「知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない」というように答えています。

結局、我々はまだ人間というのがどういう存在なのかもよく分かっていない。ただコンピュータが進歩していった結果、これまでのコンピュータとは違う、より人間に近いものというのが現れてきたのかもしれない。そういうことなのかもしれません。

 

もうひとつ。人工知能とかビッグデータとか、結構曖昧なままで使われているというように感じたのが囲碁・将棋のソフトのことです。

プロ棋士と将棋ソフトが対局する電王戦のことは多くの人が知っていると思います。

denou.jp

そこでは、人間対コンピュータ、将棋ソフトという言い方がされています。少なくとも当初はAIという言い方をしていなかったんですね。それでもプロ棋士を凌駕する実力を見せつけていましたが。

一方で囲碁のほうだと、比較的AIという表現が使われることが多いと思います。グーグルのアルファ碁が注目されて以降はそうだと思います。

そしてAIというのが注目されるようになってくると、将棋ソフトのほうもAIと呼ぶことが増えていったような気がします。はじめに述べたNHKスペシャルでも将棋ソフトをAIとして見ていますね。

アルファ碁の場合は、ディープラーニングという新しい技術を用いているので、人工知能と呼ばれたのはそういう部分だったんだろうと思います。ただ囲碁ソフトにしろ、将棋ソフトにしろ、コンピュータが打っている/指しているのは変わりません。それに佐藤名人と戦った将棋ソフトのポナンザは昨年のバージョンのもので、ディープラーニングを取り入れる前のものだそうです。

ソフトと呼ぶのか、AIと呼ぶのかは結構曖昧である気がしますね。個人的には、人工知能の考える手を、「直感」と表現してもそれほど問題はないんじゃないのかと思います。AIの出した答えを受け入れるかどうかは、考えなければいけないんでしょうけど。