岡田麿里さんの『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』を読みました。
学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで (文春e-book)
- 作者: 岡田麿里
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: Kindle版
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「花いろ」「あの花」「ここさけ」と離婚・死別が多い印象がありましたが、自分の育った家庭がある程度反映されているのでしょう。
本の中では「不登校」よりも「登校拒否」という言葉が多く使われています。
もともと「学校嫌い」「登校拒否」が使われていたのが、より包括的、中立的な言葉として「不登校」に置き換わっていった経緯があったと思いますが、時期的には90年代半ばくらいでしょうか。なので著者の学生時代にはまだ登校拒否のほうが一般的だったんでしょう。
しかしそうした「不登校」「登校拒否」という言葉の使い方自体が、やはりアイデンティティ形成に関わっているように読んでいて感じました。小学校の不登校時代など、実態としては不登校に陥りつつも、「自分は登校拒否児じゃないんだ」とレッテル張りに反発するような様子がつづられています。
アニメ脚本家として今では有名になっていますが、かくありたいと思う自分の姿と、他人から見た自分の姿、その両者の間で葛藤し続けてきたのではないかと思います。
人付き合いが苦手であるにもかかわらず、あるいはそうであるからこそ、この業界に居場所を見つけていく様子も興味深かったです。