ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます

今野晴貴『ブラック奨学金』

今野晴貴『ブラック奨学金』読了

 

ブラック企業、ブラックバイト、ブラック士業とさまざまに問題提起をなさってきた今野さんですが、今度はブラック奨学金です。

 

ブラック奨学金 (文春新書)

ブラック奨学金 (文春新書)

 

 

奨学金がその名に反してブラックになってしまっている現状が伝わってきます。読みやすい本なので、興味のある方は読んでみてください。

 

3か月の延滞で「ブラックリスト」に載り、9か月を超えると延滞分だけでなく元本を含めた全額の一括請求が求められる。延滞が生じると、返済が延滞金、利息、元本の順に充当されていく。元本がなかなか減らないので「延滞金地獄」に陥る。

減額返還、返還期限猶予などの救済制度は一応あるものの、JASSOの「恩恵的措置」に過ぎない。減額返還はすでに延滞している人はそもそも使えない。どんなに収入が低くとも、返済総額が変わるわけではなく、支払いを先延ばしにするだけである。そしてこういった制度が非常に使いにくい。申請主義を取っているので、自分で申し出なければ制度の存在すら十分に説明してもらえない。手続きは煩雑だし、元号で書くべきところを西暦で記入しただけでも申請書が送り返されてくる

そもそも日本は学費が高いくせに奨学金が充実していない。給付型奨学金がほぼ存在しないし、無利子の第一種奨学金基準を満たしているのに借りられない学生が2.4万人もいる。

 

ちっとも教育や福祉のようでない。重要なことはたとえ優秀な学生であったとしても、経済的支援が全く不十分だということです。こんな状況では次世代の人材が育成されていくはずがない。それが「ブラック奨学金」と強い訴えにつながっているわけです。

(ところで、本書以外も含めてだと思いますが、「返済」ではなく「返還」という表現を用いていますね。JASSOの言い方に従っているのだと思いますが、奨学金はローンなので、実感としては「返済」と言ったほうがしっくりくるでしょう)

 

本書の不満を少し述べるなら、なぜ日本の教育政策だけこうも異常なのかということ。そこにもっとつっこんでほしくはあります。まあ、新書なのでそこまで詳しく書けないかもしれませんが。

他の先進諸国では学費が安かったり、給付型の奨学金が存在するわけです。(先進諸国というか韓国やチリにも後れを取っているということなのですが)

で、大学の運営コストが日本だけバカ高いなんてことはないと思うので、他の国では税金などで社会的にその教育費用を負担しているということです。

ということは、大学にそれだけお金をかけてもペイできると、そういう考え方に立っているのだと思うのです。

 

では、ひるがえって日本の大学の現状はどうか。ペイできるだけの教育を行っているのか。社会がそこまで大学教育に価値を認めているか。学費の公費負担を世間がどこまで許容するか。

そういったことが問われているような気がします。