ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

過労死対策の特別チーム?

こんな報道がありました。

 

headlines.yahoo.co.jp

厚生労働省は2018年度から、違法な長時間労働の監督や労働法制の啓発などを行う「特別チーム」を全国のすべての労働基準監督署に新設する。政府は今国会で、時間外労働の罰則付き上限規制を柱とする働き方改革関連法案の成立を目指しており、現場での監督指導を強化して長時間労働の是正策の実効性を高めるねらいがある。

 

 特別チームの新設に伴う職員の増員はせず、いまの人員を再編成してチームを組織する。チームの職員を専従とするか、他の業務との兼務にするかは今後詰めるという。

 

気になったのは職員の増員をせず、すべての労働基準監督署に新設するということ。

どうも無理筋な気がしてならない。

 

監督署は全国に341署(別に支署が4署)あります。労働局に作るというならともかく、すべての監督署に設置できるのか。なお、すでに47の労働局には「過重労働特別監督監理官」なるポストが設置されています。

 

すべての署に設置するというのがどういう意味なのかイメージしてみます。以下の資料は取り急ぎ手元にあるものを用いたものですが、参考とするには問題ないでしょう。

 

この表は三重県の労働基準局(当時)と監督署の職員定数を示しています。三重労働基準局・三重婦人少年室が出した『50年のあゆみ』という記念誌に掲載されているものです。

50年誌なので1996年度の定員までしか載っていないですが、以前の記事で書いたようにその後職員数が大きく増加したというのは考えにくいでしょう。

 

f:id:knarikazu:20180125095703p:plain

 

労働基準監督署の定員を見ると、最少の熊野署なんかは5人となっています。これは署長を除くと監督官が1~2人しかいないことになります。

 

あるいは別の県を見てみます。

下の2つの表は『香川労働基準局40年の歩み』から作成したものです。この資料には職員の定員だけでなく、監督官の定員も載っていました。

 

f:id:knarikazu:20180125100339p:plain

f:id:knarikazu:20180125100359p:plain

 

見ると、やはり観音寺署、大内署などは監督官の定員が3人しかいません。

 

過去記事で書いたように、労働基準監督署に配属されている監督官は3,200人ほどです。そして監督署の数は341署です。ということは平均すると1つの監督署には10人未満の監督官しかいない計算です。上の例のように、小規模署であれば数人というところもあるでしょう。

 

「特別チーム」を設置するということは、複数人で編成されるのだと思います。1人だったら「チーム」とは呼ばないでしょうから。数人しかいない監督署があるなかで、職員の増員をせず、すべての労働基準監督署に新設するということが可能なのか。

わざわざ「特別チーム」を全ての署につくることに特段のメリットがあるのでしょうか。

 

 

追記)

厚労省のHPで発表がなされたようです。

www.mhlw.go.jp

 4月1日以降設置されることになるようです。「労働時間相談・支援班」と「調査・指導班」という2つの班を作るそうです。

「労働時間相談」というのはこれまでの労働相談窓口のどういう点が違うのでしょう?労働時間問題に特化するということ?