昨日のブログで、2001年に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が定められ、「監督指導による賃金不払残業の是正結果」が公表されるように なったことを書きました。
残業代未払いについては先日JR西日本が是正勧告を受けていたことが報道されました。
JR西日本は16日、昨年3月までの2年1カ月間に、約1万4200人の社員に計約19億9000万円の時間外労働の賃金未払いがあったと発表した。
従業員が多いこともあって、20億円という巨額の未払いになっています。
折角なので、これまで是正指導された残業代未払いの最高額はどれくらいなのかを調べてみました。
厚生労働省が発表している「監督指導による賃金不払残業の是正結果」には、「1企業での最高支払額」も公表されています*1。
この結果をまとめるとこんな感じになります。*2
一番多いのは2003年度の64億円(製造業)でした。2007年度の30億円(商業)、2011年度の27億円(建設業)と続いています。
グラフ化すると以下のようになります。赤の折れ線は未払い残業代の1企業当たりの平均額を出したものですが、そもそも集計されているのは100万以上の未払い額があったもののみなので全体の平均とはズレるかもしれません。
こうして見るとJR西日本の20億円という規模も、数年に1度程度はあるようですね。
最高支払額は金額と業種しか公表されていないので、新聞データベースからどんなのがあったのか調べてみました。
まず2003年度には消費者金融の「武富士」のサービス残業が摘発されています。
同局[大阪労働局]によると、サービス残業をさせた社員、退職者計約5千人に、未払いとなっていた過去2年分の残業手当計約35億円を支払ったという。一企業が一度に支払ったサービス残業代としては過去最大規模という。*3
その過去最大規模と言われた額を、同じ年に中部電力が上回ります。
中部電力(本社・名古屋市)は19日、01年4月~02年12月の「サービス残業代」として、全従業員の64%に当たる1万1950人に対して総額53億6千万円を支払ったと発表した。1人当たり平均で44万8千円になる。今年9月に一部社員に支払った分などを含めると、サービス残業代として支払ったのは65億2千万円、対象の従業員は延べ1万9850人にのぼり、今年7月に明らかになり、過去最大と言われた消費者金融・武富士の35億円(約5千人)を大きく上回った。*4
しかしこの報道だと65億2千万円となっていますね。厚労省の発表だと64億3千万円なので、その後金額の修正でもあったのでしょうか。それから2003年度の2位は8億6千万となっていますが、武富士はどこに行ったんでしょう。
そして2004年度の14億円は東京電力だと思われます*5。ただビックカメラも約30億円支払ったとの報道*6が……。残業代以外も含んでいるようなので上記数字と違っているのでしょうか。
そのほか目についたものを書きだしておきます。
日本マクドナルドホールディングス 22億円*8
コナカ 9億円*17
2008年度 大和リゾート 2.4億円*21
東建コーポレーション 1億8500万円*22
2010年度 イオングループ・マックスバリュ東北 2.2億円*24
2011年度 オークワ 7億円*26
2017年度 ヤマトホールディングス 少なくとも190億円(その後+40億円)*33
エイベックス・グループ・ホールディングス 10億円*34
ヤマトがダントツだった……
*2:2002年度のみ下半期のもの
*3:朝日新聞
*4:朝日新聞
*5:朝日新聞
*6:朝日新聞2005年3
*7:朝日新聞2005年6月24日付け「サービス残業に53億円 2年分3400人へ支給 スタッフサービス【大阪】」
*8:
*9:朝日新聞
*10:朝日新聞
*11:朝日新聞
*12:朝日新聞
*13:朝日新聞
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*22:朝日新聞
*23:朝日新聞
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