ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

安全衛生管理体制

前回の記事の続きです。

労働安全衛生法(安衛法)には、安全衛生管理組織や調査審議機関を設ける規定があります。

 

違反率でみると、安全管理者(安衛法11条)、衛生管理者(同12条)、作業主任者(同14条)は比較的高い違反率となっています。

安全管理者、衛生管理者は安衛法が試行する直前に一旦ピークが来ており、安衛法施行直後は減少しています。代わって高くなったのが作業主任者です。

ところが作業主任者も80年代以降徐々に低下し、衛生管理者についての違反が再び増加したため、両者の違反率が拮抗するくらいの水準になっています。衛生管理者のほうが安全管理者についての違反より高いのは、前者が全業種についての規定であるためと思われます。業種別の違反率も合わせて出せばよいですが、作業に時間もかかるのでそれは追々。

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製造業や建設業、各種小売業等で常時50人以上の労働者を使用する場合には安全管理者を選任しなければなりません。仕事は危険防止措置や安全教育、労働災害の原因調査などの技術的事項だとされています。

衛生管理者の場合は、業種に限らず常時50人以上の労働者を使用する場合に選任義務があります。安全衛生業務のうち、衛生に関する技術的事項を職務とします。

作業主任者は高圧室内作業やボイラーの取扱作業など、一定の作業を行う際に、有資格者の中から作業主任者を選任しなければならないというものです。

 

安全管理者や衛生管理者、あるいは後述する産業医の選任については業種や規模によって人数や専属かどうかが変わってきます。

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出所)京都労働局「事業場における安全衛生管理体制のあらまし

 

 

さて、安全衛生管理体制として産業医の選任義務(安衛法13条)というのもあります。

常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場は、医師の中から産業医を選任しなければなりません。産業医は健康診断や作業・作業環境の管理、健康教育などに関することで医学の専門知識を要することを職務とします。

2015年からはストレスチェックの実施、面接指導、その結果に基づく健康保持のための措置が職務に追加されました。

 

......なんですが、「労働基準監督年報」には産業医の選任義務についての違反事業場数の記載がありません。衛生管理者等についてはあるのに、どうしてなんでしょう。ストレスチェックが新たに始まったように、産業医の重要性は増していると思われるのですが、その点を確認することができません。

 

もちろん、産業医の選任は罰則付きの条文です。産業医を選任しない場合、または選任しても健康管理その他の厚生労働省令で定める事項を行わせない場合には50万円以下の罰金に処せられます。安全管理者や衛生管理者の罰則と同等の重さです。

 

罰則付きの条文であるにもかかわらず、違反件数が集計されていない条文は実は他にもあります。これについては別の機会に論じたいと思います。

 

 

 

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