ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

技能実習の監督指導状況

外国人実習生の報道がありましたので、簡単にグラフを作ってみようかと思いまして。

 

www.asahi.com

実習生の監督状況については、以下の厚労省のページにプレスリリースが載っています。

最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための監督指導及び送検の状況 |厚生労働省

今回はこちらを中心に作成しました。

 

実習生の受け入れ状況

監督状況を見る前に、実習生の受け入れが拡大しているのかというところから。

f:id:knarikazu:20180622135215p:plain

 

在留資格別外国人数*1の推移です。数字はJITCO白書から拾いました。

2009‐10は連続していないので、注意が必要です。

入管法が改正されたため、2010年7月1日から「技能実習」という新たな在留資格ができました。これまでの「研修」という資格は、国や自治体が行う公的研修などに限定されたので、数が少なくなっています。

f:id:knarikazu:20180622135730p:plain

出所)http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_NINTEI/zairyu_nintei10_0_01.pdf

 

なお、2017年11月には実習期間をさらに延長する技能実習法が施行されました。

f:id:knarikazu:20180622140420p:plain

出所)外国人技能実習制度とは | 外国人技能実習制度の円滑な運営を支援 | JITCO - 公益財団法人 国際研修協力機構

 

実習生の新規入国*2はこんな感じ。これもJITCO白書から。

f:id:knarikazu:20180622140845p:plain

アジアが多いのはそうですが、その中でも中国がかつては大多数でした。

しかし中国が年々数を減らす傾向にあるのに対し、ベトナムからの実習生が急増したため、2016年に両者の数が逆転しています。

 

監督指導状況

実習生の受け入れ拡大に伴って、監督指導件数は増えています。

違反率はやや変動が見られますが、いずれも7割以上の水準ですね。

f:id:knarikazu:20180622141455p:plain

 

違反率が高いのは事実ですが、一方で一般の定期監督でも7割程度の違反率があるのでね……。例のコンビニの違反率くらいの高さがあればヤバいなと感じますが……。

コンビニの労基法違反率が高すぎる - ぽんの日記

 

違反の中身は報道でもあった通り、労働時間の違反が多くなっていて、過去の傾向を見ても大きくは変わりません。

賃金不払(24条違反)の違反率は8.8%と高めな気もしますが*3、最賃違反は1.5%でむしろ低めな気がする。2016年の定期監督での最賃の違反率は2.6%だし、「最低賃金の履行確保を主眼とする監督」とかだと13%とかありますから。

最低賃金の監督 - ぽんの日記

 

技能実習生のいる事業場への監督だと、もっとビビッドに違いが出るような気もしていましたが、案外そうでもないのかもしれませぬ。

f:id:knarikazu:20180622145437p:plain

 

申告件数は2008年がピーク。実習生の数は、リーマンショックの不況で減って、その後再び拡大するけれども、実習生からの申告はほとんど増えていません。

 

f:id:knarikazu:20180622145650p:plain

送検率(送検件数÷違反事業場数)も出してみたけれど、こちらも取り立てて高いようには見えず。

安全衛生違反の割合が少ないと感じますが。全体の送検事件のうち、安全衛生違反は3~4割ありますが、実習生案件だと少なくなるのでしょうか。軽工業が多いというのもありそうですが。

 

f:id:knarikazu:20180622150825p:plain

最後に相互通報の状況。

入管との間で相互通報制度を設け、合同で監督にあたることもあるようなのですが、出入国管理機関から労働基準監督機関への通報件数はなぜか大きく減少していますね。

*1:2011年以前は外国人登録者数

*2:「研修」「技能実習」による入国者数

*3:2016年の定期監督での23・24条の違反率は3.9%