以前こんなのを書いた。
これらを書いた際に、すでに業種別の送検状況についても書いた気でいたが、どうもそうでもなかったようだ。
そういうわけで、業種別。
業種別にみると建設業の多さが圧倒的で、製造業がそれに次ぐ。
安全衛生関係の送検が多いことは以前に触れたが、それがこのような結果に表れているのだろう。安全衛生に限らず、中間搾取や賃金不払いなども問題も多く、建設業は重点監督対象だった。
1965年に送検数が急増しているのは、是正基準方式のところで触れたと思う。
労基署は「中小企業の実態を考慮して指導・監督を実施する」ことになるのか――是正基準方式 - ぽんの日記
それ以前は取締より指導に重点が置かれており、それが転換され件数主義的に送検数が増えたのが60年代後半だった。それ以降は徐々に件数が減っていく傾向にあり、2016年は890件となった。厚労省による公表リストを見る限り、おそらく昨年今年はもっと減っているのではないかと思われる。
なお、年間の送検数は1965年以来1千件を上回っていたから、2015年に1千件割れをしたのは半世紀ぶりということになる。
非工業分野をいくつか取り上げて見ると上図の通り。
前述した是正基準方式のところは谷間みたいになっている。商業(卸売り小売や理美容業)の件数が多いが、近年は「その他の事業」の伸びも目立つ。派遣業も「その他の事業」に含まれるが、派遣業の送検数のピークはリーマンショック前2007年の1,308件。
接客娯楽業は50年代に多く、近年の数字はややそれに及ばない。
上記はあくまで件数で見たものなのだが、率で見るとどうなるか。
いわゆる工業的業種は平均的にみて定期監督実施率も送検率も高くなっており、経年変化の振れ幅も大きい。
それに比べると非工業的業種はそもそも監督が十分に行きわたっていないように思える。前掲した送検数のグラフだと件数は増えてるような気もするが、そもそもサービス経済化が進んでこれらの業種が増えている。監督行政がそれに追いついていない面もあるだろう。