ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

試験問題から見る労働問題(労働事情編)

昨日に引き続いて、労働事情編です。

 

 

 

2012年以降

労働事情の問題においても、2012年に用語説明の問題が出題されるようになります。

出題内容という点でいうと、経済学の知識が必要になった(?)ことでしょうか。それまでの論述問題では、とくに経済学の知識は必要ではありませんでしたから。

 

 

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労働経済学」ということなのかもしれませんが、正直「等生産量曲線」(2018年)や「規模に関して収穫一定」(2015年)は経済学の問題でしょう。あとは「労働力調査」や「毎月勤労統計調査」などの日本の労働統計の用語ですね。「ジニ係数」「合計特殊出生率」は、広く言えば労働関係ということになるのでしょうか。

 

後半の論述問題は、キーワード記述の問題が続いています。出題テーマに対して①現状について述べさせたうえで、②政府や企業が取り組むべき施策等を書かせる問題です。

2014年以前は①現状・要因と②施策・対応が分かれておらず、まとめて5~6個のキーワードが与えられます。実際回答するうえでは①→②としたほうが書きやすいと思いますが、そういった構成も含めて考えろということでしょう。そういう意味では出題の仕方としては近年のほうが易化と言えるかもしれません。

内容としては、労働市場政策が多かったのが、近年は労働時間や賃金など労働条件面のテーマとなっているように思います。

 

 

2001~2011年

ほとんど出題形式は変わらないのですが、この時期は図表が掲載されていました。一応図表を参考にして答えるという体になっていますが、無いなら無いで構わない程度に1つか2つ図表が出ていました。

グラフを読み解くのが難しいわけでもなく、あまり見ないような珍しい図表が出るわけでもありませんから、特にそれで難易度が変わっているということもないと思います。

 

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キーワードで記述させる問題は2005年からのようです。

キーワードに注目すると「仕事と家庭の両立支援策(2005年)」「仕事と家庭の調和(2007年)」「仕事と家庭の両立(2009年)」「仕事と生活の調和(2010年)」が頻出してます。「家庭」だったものが「生活」に変わり、2015年だとカタカナで「ワーク・ライフ・バランス」になりました。

 

フリーター、ニートなどもこのころの雇用問題らしいですね。

労働法の分野では、労働基準法、ついで労働契約法といった出題順序で、その他の労働法はあまり見られませんでした。

それを思うと、パートタイム労働法、雇用機会均等法、育児・介護休業法、均等・均衡待遇などの分野は、むしろこちら側の問題として出題していると言えます。「労働事情」の論述問題であるため、細かい法知識を問うものではありませんが。

 

「人口減少」「少子化」などのキーワードもこのあたりの時期からよく出されるようになっているようです。

 

 

 

1997~2000年

1997年から2000年は図表問題が出ていません。99年、00年は会話文形式で問題の導入が行われています。

 

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会話文形式はAさんとBさんの2つの立場があるというものなのですが、あんまり意味がないんでこの2年間で打ち止めになったのでしょう。

 

2000年出題の会話を引用すると、

 Aさん「現在のように雇用情勢が厳しいなか、労働分野でも規制緩和を積極的に進めることが大切ではないかしら。規制緩和が進めば、産業構造の変化などの構造改革も進展し、新規雇用の創出にも資することとなるわよ。」

B君「そうかな。いわゆる規制については経済的規制と社会的規制に分けて考える必要があると思う。雇用情勢が厳しいからこそ、労働者の雇用や生活を守るという観点から、社会的規制が大部心と考えられる労働分野の規制の緩和には慎重であるべきではないかな。」

これで問(2)でどちらかの立場を選ばせ、問(3)で「期待される雇用に対するプラスの効果について具体的に述べよ」とされるわけです。

なんというか、素直に読む限りB君は「規制緩和慎重派」ですよね? これが「規制強化派」ならまだわかるんですよ。でも「慎重派」の立場に立って「プラスの効果」を述べるのってちょっと難儀じゃない? 「規制緩和した場合のマイナスが生じなくなる」は「プラスの効果」でいいのかしら。

 

1978~1996年

1978年から96年は一括しました。やはり出題形式の変更がほぼ見られません。図表を参考図として載せたうえで、特徴や問題点、対応策・方策を答えさせるものです。

 

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 79年にはすでに「高齢化」が取り上げられていますが、主に問われたのは「労働者の高齢化」ということでした。現役世代が減るとか、労働力不足になるというような認識の仕方ではありません。1983年は「定年延長」が出題されていますが、このころの定年延長は60歳までというものです。60歳定年の努力義務を規定した高年齢者雇用安定法が成立*1するのは、1986年です。

その後、1991、94年は高齢者雇用の問題を扱っています。

 

 

労働時間や女性の就業問題などの出題が多い中で、比較的変わりダネは1986年のME化などでしょうか。「集積回路利用機器(産業用ロポット・NC工作機械等)を生産工程に導入している事業所の割合」「各種オフィス・オートメーション(OA)機器を導入している企業の割合」が図表として載せられています。

最も導入割合の多いOA機器ファクシミリ、次いでオフィスコンピューターでした。

 

全体としてみると、頻出分野は労働時間関係ですね。

95年の問題を引用しておきましょう(図表省略)。

我が国の労働時間の短縮は、下のグラフに見られるように、平成元年以降着実な進展をみせているが、このように労働時間の短縮が着実に進展した背景について、経済、社会の動向及び関連する国の労働施策の動向に触れつつ論述せよ。

また、労働時間短縮の意義についても論述せよ。

 

さすがに20年以上前の問題だけあって、「労働時間の短縮が着実に進展した」と言われると隔世の感があります……か?

 

 

 

*1:形としては中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の改正