個人的に気になった点を、断片的に記しておく。
「規模500人以上の事業所」って、たぶん従業者数ではなく常用労働者数の規模でしょう。
調査の概要に書かれている説明だとその辺が明確でない気がするが。
(1) 標本設計
標本設計は、常用労働者一人平均月間きまって支給する給与の標本誤差が、産業、事業所規模別に一定の範囲内となるように行っています。
第一種事業所(規模30人以上)は、事業所母集団データベースの年次フレームに基づいて作成した事業所全数リストを抽出のための母集団フレームとし、そこから産業、事業所規模別に標本事業所を無作為に抽出しています。
調査対象が「常時5人以上を雇用する事業所」なので、常用労働者と考えていいでしょう。
(この「常用労働者」なるものについては、過去記事も参照→常用労働者の定義 - ぽんの日記)
田中先生がこうつぶやいておられますが、これは常雇規模ではなく、従業者規模だと思われます。「従業者」は個人業主、無給の家族従業者、有給役員を含みます。
具体的にどのくらいのインパクトなのか、以下概算。
— TANAKA Sigeto (@twremcat) January 10, 2019
2014年経済センサス https://t.co/WvnSbyvfhO p. 17 によると、300人以上規模の事業所は12,247あるとのこと。500人以上規模の事業所はもっとすくなくて、たとえば9千程度だとすると、東京都の事業所900を落とすことで、この層の1割くらいが脱落。 pic.twitter.com/ntC98If301
常雇規模別500人以上だと、2014年は全国計で5,917(うち民営5,128)となります。
データは事業所統計調査、事業所・企業統計調査、経済センサス(基礎調査・活動調査)です。
以前に労災保険の適用拡大の記事を書いたときに、常雇規模別の推移を見ようと思って作ったデータなので、従業者規模別の数字は逆に作ってません。
この常雇規模別500人以上の常用労働者数は経済センサスの公表されている集計表からは分からなかったと思います。(公表されているのは、常雇規模別従業者数であるため)
ところで、毎勤は厚労省の統計ですが、都道府県を介すのですね。
賃金センサスは都道府県(自治体)ではなく、出先機関(労働局、労基署)経由で行われます。
労働局、労基署が関わる調査としては、ほかに屋外労働者職種別賃金調査(廃止)、家内労働実態調査、賃金労働時間制度等総合調査がありました。
賃金労働時間制度等総合調査は「平均的な者」について書いたときにすこし触れましたが、現在の就労条件総合調査では委託になっています。
もののついでに述べておきたいのは、毎勤の年報の版の分かりにくさ。分かりにくいというか勘違いします。
2004年の結果を見ようと、「平成16年版」と本の背に書かれているものを手に取ると、データは2003年のものだという……。素で騙されたわ。
「平成29年版」のものが平成30年に発行されて、載ってるデータは平成28年のものだという。ややこしいから平成28年版って名乗ってほしいわ。