ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

起訴率

このブログではこれまで何度か、労働基準監督行政による送検のグラフを載せたことがあります。

送検処分は監督行政における最終手段だとも言えますが、残念ながら起訴率は低迷しています。とくに労働安全衛生法と比べると、労働基準法の不起訴は非常に多くなっています。

 

 

 

日本の刑事司法においては、検察が事実上起訴権限を独占し、起訴するか否かの判断についても大きく裁量を有していること(起訴便宜主義*1)が特徴として指摘されるところです。

 

なので監督官が頑張って送検しても、不起訴になってしまえば刑事罰が下されることはないわけですね。

証拠不十分による不起訴とかではなくて、情状を考慮とかなんとかの「起訴猶予」が多いわけですね。送検するかどうかが、検察の胸先三寸と言われたりもするわけです。

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刑事事件全般の起訴率の推移について見たのが、以前ツイッターでちょろっと上げたこのグラフ。*2

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5年ごとの推移になりますが、労基法、安衛法について取りだして起訴率を追ったのが下の図になります。*3

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前述のとおり、「起訴猶予」がかなりの割合を占めます。「特別法犯」は道路交通法等違反を除きます。

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*1:刑事訴訟法第248条「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」

*2:以下、グラフはすべて検察統計年報より作成

*3:起訴率は、起訴/(起訴+不起訴)