このブログではこれまで何度か、労働基準監督行政による送検のグラフを載せたことがあります。
送検処分は監督行政における最終手段だとも言えますが、残念ながら起訴率は低迷しています。とくに労働安全衛生法と比べると、労働基準法の不起訴は非常に多くなっています。
日本の刑事司法においては、検察が事実上起訴権限を独占し、起訴するか否かの判断についても大きく裁量を有していること(起訴便宜主義*1)が特徴として指摘されるところです。
なので監督官が頑張って送検しても、不起訴になってしまえば刑事罰が下されることはないわけですね。
証拠不十分による不起訴とかではなくて、情状を考慮とかなんとかの「起訴猶予」が多いわけですね。送検するかどうかが、検察の胸先三寸と言われたりもするわけです。
刑事事件全般の起訴率の推移について見たのが、以前ツイッターでちょろっと上げたこのグラフ。*2
5年ごとの推移になりますが、労基法、安衛法について取りだして起訴率を追ったのが下の図になります。*3
前述のとおり、「起訴猶予」がかなりの割合を占めます。「特別法犯」は道路交通法等違反を除きます。