ぽんの日記

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橋本健二『新・日本の階級社会』

 橋本健二『新・日本の階級社会』講談社現代新書、2018年。

 

売れている*1ということなので、手に取って読んでみたのだけれど……

 

悪い本とは言わない。氏の本はこれまでにも読んだことはあったが、今回は新書ということで取っつきやすいとはいえ、前に読んだ本のほうが個人的には楽しめたかな、というところ。

 

 

本書の新しいところは、タイトルにもあるとおり、日本は「階級社会」だと言ってのけたところなのだろう。もはや「格差社会」どころではないと。

しかし一方でここが一番腑に落ちない点でもある。私は決して格差の存在を否定しているわけではないが、じゃあ「階級」という視点で日本社会を捉えることがどれほど的確なのか、社会の姿をどの程度規定している要素なのかというのが、いまひとつピンとこない。

 

本書の中で言えば、排外主義や再分配支持についての傾向が階級によって違うとなっている*2。しかし掲げられているグラフを見た第一感は「違いといってもこんなもんなのか」というところ。これは人によっても感じ方が違うかもしれないが、少なくとも私は思ったほど明瞭な違いが出ていないように感じた。「資本家階級」数人(あるいは「アンダークラス」数人)に同じ質問をしたとしても、返ってくる答えが全部バラバラというのもあり得そうなくらいの数字じゃなかろうか。

 

それに「自分の住む地域に外国人が増えてほしくない」「中国人・韓国人は日本を悪く言い過ぎる」は同じく排外主義の質問なのだろうか。排外と嫌中・嫌韓は……

その後の「日本国憲法を改正して、軍隊をもつことができるようにした方がいい」と「沖縄に米軍基地が集中していても仕方がない」も……これを軍備重視としているけれど、憲法改正や沖縄差別の問題は、軍備重視とは直結はしていないと思うのだが。

 

 

 

*1:毎日新聞今や日本は階級社会」によると発行部数は6万部超えたとか

*2:図表だと218頁、224-5頁、231頁、240頁