2007年の法改正によって、最低賃金の適用除外の規定は減額特例へと変わったわけですが、具体的にどう変わってどんな影響をもたらしたのか、がよくわからない。
最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めたもの。
そして現行第7条では、障害者等を対象に、許可を要件として減額の特例が定められています。これがかつて2007年の最賃法改正前(旧8条)では適用除外として定められていたのでした。
その趣旨としては、一般の最低賃金をそのまま認めてしまうと、かえって雇用の機会が失われてしまうおそれがあるため、ということです。
労働調査会出版局『最低賃金法の詳解』(改訂4版、2016年)から引いておきます。
使用者がこの規定[旧法第8条――引用者注]による適用除外の許可を受けた場合には、旧法第5条の規定が適用されないことから、許可を受けた労働者に対して、適用除外許可の附款において支払下限額を定め、最低賃金額に達しない賃金を支払うことが認められることとなり、同法第44条の罰則も適用されないものであった。
しかしながら、最低賃金のセーフティネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲なものとすることが望ましく、減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資することから、平成19年の改正法において、旧法の適用除外規定を廃止し、減額の特例規定とすることとしたものである。
(32頁)
あとは減額率で決めるようになったことが、毎年の最賃額改定と関係してくるのでしょうかね?
人数の推移
減額特例の対象となりうる労働者は
①精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
②試の使用期間中の者
③基礎的な技能および知識を習得させるための職業訓練を受ける者であって、厚生労働省令で定める者
④軽易な業務に従事する者
そして「その他の厚生労働省令で定める者」として施行規則第3条第2項で⑤断続的労働に従事する者 となっています。
最賃の減額特例(適用除外)許可を受けた人員数の推移は以下のようになります。
グラフは「労働基準監督年報」各年版に掲載されているデータから作りました。
1987年以前は記載がなく、1961~1976年については申請件数、許可件数について記載されているのみで、人数が把握できませんでした。
「精神障害」と「知的障害」は2008年以降区分されるようになっています。
さて、障害者の特例というイメージが強かったのですが、人数としては断続的労働従事者が最も多くなっています。
2002-03年ごろから急に増えたように見えるのですが、これは何?