ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

監督官 地域差

前回、前々回と監督署の職員数について見てきました。最後に(「最後に」というのはいったん一区切りという意味で、粗い部分が多々あるのは承知しているわけですが)地域別の様相を確認したいと思います。

地域別と言いますか、大規模署と小規模・零細署で大きく実態が違うはずだという話ですね。

 

kynari.hatenablog.com

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※以下の数字は前回と同じく、『職員録』を数え上げたものです。

 

監督署の規模

まず規模別の分布の確認です。一つの署に職員の数がどの程度いるかを示したものです。

 

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横軸の数字が職員の人数を、縦軸が監督署の数を示しています。

たとえば2019年は職員数が全部で6人の監督署が37か署ありました。職員数は監督官以外も含めた人数です。

31人以上の監督署もありますが、グラフが横に長くなってしまうので、便宜的に30人で区切っています。

 

平均等の記述統計量を示すとこんな感じです。

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職員数が10数名の監督署が一般的と言ってよく、10人に満たない監督署が珍しくありません。

なお、この数字は駐在事務所も一つの「署」と見なして集計したものです。上述のグラフで職員数1人とか2人のところがあるのはそのためです。

 

 

地域格差

職員数が何十人といる大規模署もあれば、数人しかいない署もあるわけですね。職員が数人のところは、このなかに署長がいて、監督官がいて、労災補償担当がいて、という形になります。

 

職員数はおおよそ業務量に応じて調整されているはずです。会社の数が多い都市部の監督署であれば、より多くの人員が配属されているでしょう。

そこで、各監督署の職員あたりの事業場数と常用雇用者数を算出してみました。選挙権でいうところの「1票の格差」問題ですね。

 

事業場数と常用雇用者のデータとしては平成28年経済センサス‐活動調査を使用しました。監督署の職員数については『職員録』の平成28(2016)年版のものを用いています。

労基法適用事業場数として、厚労省は経済センサスの「常用雇用者1人以上の事業所」の数を用いているようなので、それに倣います。

 

ただし、今回は各監督署の管轄地域ごとの事業場数のデータが必要になります。以下の図では単に「職員1人当りの事業場数」と書いてありますが、これは民営事業所の数字となります。

また、前掲の分布図と違い、駐在事務所は合算しました。壱岐駐在事務所は対馬署に、前橋署伊勢崎分庁舎は前橋署に含める、といった形です。

経済センサスのデータと、監督署の所轄地域が完全には一致していないところがある点はご勘弁ください。たとえば、横浜市鶴見区は主として鶴見署の所轄となりますが、鶴見区のうち扇島は川崎南署の所轄となっています。今回用いた経済センサスのデータは市町村(政令市は行政区まで)の単位となっていますので、そこまで突合できませんでした。横浜市鶴見区の事業場数、雇用者数はすべて鶴見署のものとして計算しています。ご容赦を。*1

 

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*1:同様の例としては、北海道石狩市浜益区、青森市浪岡、岩手県遠野市宮守町、同奥州市前沢区衣川区群馬県高崎市新町・吉井町、埼玉県鴻巣市川里町新潟県長岡市のうち川口相川・川口荒谷・川口牛ヶ島・東川口・川口木沢・川口田麦山・川口峠・川口中山・西川口・川口武道窪・川口和南津、長野市のうち若穂綿内・若穂川田・若穂牛島・若穂保科、松本市のうち梓川上野・梓川梓・梓川倭、安曇野市のうち明科東川手・明科中川手・明科光・明科七貴・明科南陸郷、島根県雲南市のうち大東町加茂町木次町岡山県加賀郡吉備中央町旧賀陽町地域、東広島市のうち安芸津町・河内町・豊栄町・福富町・黒瀬町黒瀬春日野・黒瀬松ヶ丘・黒瀬学園台黒瀬桜が丘黒瀬切田が丘山口県柳井市のうち神代・大畠・遠崎、同美祢市秋芳町美東町、同周南市のうち大字大河内・大字奥関屋・大字小松原・大字清尾・大字中村・大字原・大字樋口・大字八代・大字安田・大字呼坂、高松市国分寺町丸亀市飯山町・綾歌町、今治市宮窪町四阪島、佐世保市江迎町鹿町町熊本市植木町がある。