ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

休業手当と最低賃金

もともと最低賃金付近で働いている労働者だと、休業手当を時給換算した額が最低賃金を割ってしまうことが往々にして起こりますね。

 

労基法では休業手当を「平均賃金の6割」としています。

(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

時給制の労働者の場合、「賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十」が平均賃金の最低保障額となっています労基法第12条但書第1号)

そうなると1日当たりの休業手当の額が、6割×6割で、普段の36%くらいの金額になるおそれがあります。そうなると時給換算で最賃割れは珍しくないでしょう。

 

休業手当も労基法上の「賃金」労基法第11条)であるので、同法第24条が適用され、普段の賃金と同様、一定の期日に支払われます。

一方で、最低賃金は休業手当には適用されないというのが「普通」であろうと思います。

最賃法第4条第4項は次のように規定しています。

4 第一項及び第二項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかつた場合において、労働しなかつた時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない。

休業した場合に、「労働しなかった時間」について賃金を支払わなくても、最賃法には引っかかりません。

ただしこれは労働者の都合で休業した場合と、使用者が「正当な理由により」休業した場合の話です。正当ではない理由で休業した場合には最賃の効力が及ぶと解されます。

 

正当な理由ではない休業なのに、休業手当が「平均賃金の6割」だった場合は、民事的には労働者は賃金の全額を請求できる(民法第536条第2項)とともに、それが最賃を割っていれば、その分は刑事罰をもって支払いを強制される。そんな関係になるでしょうか。