ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

36協定の集計分析

厚生労働省の 2019(平成31)年度行政事業レビューシートによれば「長時間労働・過重労働の解消・抑制等経費」(事業番号0417)の一環として「都道府県労働局等より送付された36協定について、全数の入力・集計・分析を行う」事業が行われています。

 

開示請求を行って「2019年度実施事業『時間外労働・休日労働に関する協定届』の記載内容の入力・集計分析業務に関する集計・分析資料」を取り寄せてみました。

 

時間外労働の上限規制は大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されます。36協定の様式は、新しい上限規制が導入されるまでは従前のものとされており、大企業であれば2019年4月以後の期間のみを定めた36協定から、中小企業であれば2020年4月以後の期間のみを定めた36協定から、新しい様式での届出となります。

であれば大企業と中小企業を区別したほうが良いのかもしれませんが、入手した集計表はとくにそのような区分をしていません。

 

新しい上限規制が導入される前には限度基準告示によって、上限が定められていました。この限度基準は、旧労基法第36条第3項で「適合したものとなるようにしなければならない」となっていたものです。

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時間外労働の限度に関する基準

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000123090.pdf

 

 

もう一点付記しておくと、下記に掲げる集計グラフのカテゴリー区分は、元の集計区分をそのまま用いていますが、元のデータは都道府県ごとに集計されているのをここでは全国計にしています。

もし都道府県ごとに窓口指導の取り組み方が違ったりすれば、その差がデータに表れたりするのかもしれませんが、今回は都道府県ごとの数字には手を付けていません。

 

取り組みの地域差が現在どの程度あるのかは知りませんが、たとえば元監督官の会田朋哉氏の著書では、埼玉版のモデル協定による指導の話がちらりと出ています。

翻って、昭和54年当時、まだ私が埼玉労働基準局監督課監督係長だった頃、当時の局長の指示の下に、三六協定の上限は1日2時間以内という画期的な『埼玉版モデル三六協定書』を示し、監督署の窓口指導等を強化して局・署一体となり取り組んだこと等、思い出されます。

(会田[2007]『労働基準行政と労働基準監督官』56頁)

 

 

1日を超える一定期間の延長時間

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1日を超える一定期間の延長時間

 

1年の延長時間

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1年の延長時間

 

特別の事情

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特別の事情

特別条項の延長回数

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特別条項の延長回数

 

1日を超える一定期間の特別延長時間

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1日を超える一定期間の特別延長時間

 

1年の特別延長時間

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1年の特別延長時間

 

集計実数

上記のグラフは比率で表示しているので、実数についても出しておきます。「特別条項の適用回数」の箇所以外は、記載無しの集計が省かれているようです。

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集計実数