ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

京都市美術館への是正勧告

深く考えず京都市美術館と書いてしまったけれど、ネーミングライツを売った結果「京都市京セラ美術館」になったのでしたね。

 

36協定超過と残業代未払が発覚した一件がありました。

 

www.kyoto-np.co.jp

 京都市人事委員会が門川大作市長に対し、市京セラ美術館(左京区)改築工事を担当した職員16人の時間外勤務手当(残業代)未払いなどが労働基準法に違反すると是正を勧告していたことが6日、分かった。関係者によると、職員の中には100万円以上の支払い不足があったといい、市が詳細を調査している。市人事委が京都市長に是正勧告を出すのは初めて。

 同委によると、勧告は9月8日付。5月に再オープンした市美術館の改築に関連し、昨年8月~今年1月の半年間、同館職員16人に対し、時間外労働と休日労働にかかる残業代の支払い不足があった。さらに、うち7人は月100時間未満などとする時間外勤務に関する労使協定を破り、違法に働かせていたという。

 是正勧告では「美術館の管理職のみならず、使用者側全体として業務量に応じた人員配置、労働法令の順守が適切になされていたとは言い難い」と市の責任を指摘。市に今月末までに改善措置の報告を求めた。

 労基法違反の発覚は、市美術館の男性職員(懲戒免職処分)が今年1月末、京都府警に道交法違反容疑で逮捕されたのがきっかけ。市が男性職員の勤務状況を調べる中で未申告の超過勤務がある疑いが浮上し、市人事委が他職員の勤務実態も含めて調査していた。

 自治体の人事委は、労働基準監督署に代わり役所の勤務環境について調査、違法行為を指摘する権限がある。

 

地方公務員には原則として労基法が適用されますが、監督権限は労基署ではなく人事委員会にあるわけですね*1

人事委員会が是正勧告を出すのは珍しい事例であると思ったので、市の情報公開条例に基づいて開示請求してきました。

 

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是正勧告書

 

もうひとつ気になったこととして、人事委員会が行う労働基準監督業務について、業務処理要領・マニュアルのようなものがあるのだろうか、という点でした。

京都市ではなく京都府のものですが、ホームページに以下のような記載があり、「関係事務の手引き」も公開されています。

www.pref.kyoto.jp

 

ただ、公文書開示請求の手続きに行った際には、どうもその手の文書がなさそうな気配だったので、代わりに「監督指導業務の流れが分かる文書」を請求してました。

そうして出てきたのが、「想定される監督指導の流れ」というペラ1枚の文書

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「想定される監督指導の流れ」

「これは何かの文書の一部ですか?」と尋ねても「これだけです」で返されてしまいました。フロー図のみなのか。

あと、「地方公務員法第58条第3項」となってるのは、これでよろしいのでしょうか。監督権限の話だと思うので「第5項」のような気がするのですが。いや60年くらい前であれば「第3項」で間違ってなくて、その当時からこのフロー図が脈々と受け継がれてきたとか。

そして「労基署に通告→送検」の流れが頭に引っかかっている。人事委員会でなく労基署が監督する事業だったら「労基署に通告」とは書かないよな。でも人事委員会が監督する事業だと、労基に司法警察権限ってないよな。あれ、わかんなくなってきた。

「労働基準監督機関の職権は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会・・・が行う」(地公法第58条第5項)

労働基準法・・・第百二条の規定・・・は、職員に関して適用しない。ただし、労働基準法第百二条の規定・・・は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員に・・・関しては適用する。」(地公法第58条第3項)


 

*1:労基法別表第1第1号から第10号まで及び第13号から第15号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除く