ぽんの日記

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藤井4段の深夜対局に思うこと

藤井4段の連勝記録が注目されている。たしか『ヒカルの碁』の塔矢アキラがデビュー26連勝だったから、すでに28連勝というのは、マンガ超えの強さだ。

一方で、先日の順位戦では、夜遅くまで続く対局に心配の声が上がった。

 

www.asahi.com

 15日の順位戦は、夜11時に及ぶ長丁場の戦いだった。労基法では18歳以下の深夜業は禁止されているし、そもそも中学生は働かせることができない

 

それについて日本将棋連盟は「棋士個人事業主」だから問題ないという理屈のようだ。

以降、議論が出てこないところを見ると、それで話が終わってしまったようだ。

 

だが、肝心なのは、違法かどうかではないだろう。14歳の中学生という事情を考慮して、柔軟な配慮ができないのかという点である。違法かどうかではなく、適切なのかどうかが論点であるべきである。

 

そもそも、深夜にまで及ぶ対局となったのは、持ち時間が1人6時間という長さにある。持ち時間が切れた後は秒読みになるから、対局時間が12時間以上になることも生じうる。

 

将棋の性格上、対局時間が長時間になるのは、仕方がないという意見もあるだろう。だが、こうしたことは囲碁では起きない。持ち時間の長さが違うのである(なお、中学生プロ棋士囲碁のほうが多い)。

 

囲碁の持ち時間で6時間を超えるのは、3大棋戦(名人、棋聖本因坊)のタイトルマッチだけだ。しかも、これらは2日制である。天元戦や十段戦なら、持ち時間は3時間だ。

一方で、先日の藤井4段の対局は、C級2組。順位戦の、一番下のランクである。つまり、囲碁であればタイトル戦並みの持ち時間の対局を、予選で行っているのだ。

 

つまりは、この1局が例外的に長かったわけではなく、今後も長時間の対局が、何局も続いていくのである。

 

囲碁は持ち時間が短く、しかも国際棋戦の潮流に合わせて、持ち時間は短縮傾向にある。

 

それと比較すると、将棋の対局時間はあまりにも長い。

繰り返すが、藤井4段は今後もこのような長時間の対局を戦っていくことになる。個人事業主だから、労基法に違反しないから、というだけで済ませて良いのだろうか。

 

なにもタイトルマッチの持ち時間を変更しろと言っているわけではない。そのずっと手前の予選の話だ。すでに対局日を土日中心にすることを検討しているとのことだが、同時に対局時間の見直しも検討してはどうだろうか。

 

 追記(2017/6/27)

対局日を土日対応するだけでなく、会場への行き来をタクシー送迎に切り替えるそう。

headlines.yahoo.co.jp

ただ、これはあくまで報道対策としてとのこと。夜遅くなるから、という理由ではないようだ。

 

それにタクシーで移動しても、駅からはおそらく新幹線移動だろう。

将棋連盟のHPを見たけれど、中部に拠点はないようだ。(囲碁だと東京、関西に加えて、日本棋院中部総本部があったはず)

だとすると、毎回対局のたびに、愛知県から東京、大阪まで移動するということになるのだろう。

 

棋士は対局の後に感想戦を行う。連勝記録が注目されている藤井4段は、報道陣の取材も殺到しているし、記者会見も行っている。「11時間の対局にもかかわらず疲労の色を見せなかった」的なコメントもあるみたいだが、どう考えたって疲れないはずないと思うのだが……

勝ち進むにつれて、対局ペースも増えている。

こういう心配をしている人は、少なくないのだろうか。