ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

伊藤詩織『Black Box』

生々しい事件の記録として、これは強烈。 レイプ事件であるということはそうだけれども、逮捕状が出たのに直前で警視庁刑事部長の判断で逮捕が取りやめになったり、その後も検察・検察審査会で不起訴という判断になったり…… そういう「握りつぶされた」事件…

実態に基づいた労働法の議論のために

昨日、「違反状況が不明になっている労基法の条文」という記事を書きました。 この記事を書いた理由を記しておきたいと思います。 労働基準監督年報とは 改善してほしい点(形式面) 改善してほしい点(内容面) 最低賃金審議会での参考資料

違反状況が不明になっている労基法の条文

厚生労働省が毎年発行している「労働基準監督年報」という年次報告書では、全国の労働基準監督署の監督結果を集計されており、労基法等の違反事業場数を知ることができます。 しかし前回のエントリーの中で産業医の選任義務違反の件数について、年報には記載…

安全衛生管理体制

前回の記事の続きです。 労働安全衛生法(安衛法)には、安全衛生管理組織や調査審議機関を設ける規定があります。

労働安全衛生法の違反率

「労働基準監督年報」の数字から、定期監督の違反率の推移を見るということをやっています。これまでは労働時間と労働条件明示義務に関して書きました。 労働時間の違反率の推移 - ぽんの日記 求人詐欺・求人トラブルの今昔――労働条件明示義務違反 - ぽんの…

企業名公表は送検よりハードルが高い?

送検の少なさ 労基法の実効性を確保する手段として、従来用いられてきたのが行政指導(指導や是正勧告)と刑罰(送検)。 ただ行政指導の場合には柔軟ではあるが強制力がない。指導に従うかどうかはあくまで任意。一方、送検という手段を取った場合は、起訴…

「かとく」案件

「かとく」の設置 2015年4月、複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に対応する特別チーム「過重労働撲滅特別対策班」を東京労働局と大阪労働局に設置されました。これが通称「かとく」と呼ばれます。 そして2016年4月には本省に「過重労働撲滅特別対…

スピルバーグ監督『ペンタゴン・ペーパーズ』

面白かったのは面白かったんだけど… 映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト 大ヒット上映中 妙味だと思うのは、ニューヨーク・タイムズでなくて、ワシントン・ポストを中心にしているところ。原題はThe Postであるけれども。 最初にペンタ…

役所てつや・先崎惣一『フクシノヒト』/小林エリコ『この地獄を生きるのだ』

この間に読んだ生活保護を扱った本。 1つ目は役所てつや原案、先崎惣一著の小説『フクシノヒト』。大卒で役所に就職した主人公が福祉化保護係に配属され、ケースワーカーとなる話。 貧困の世界というよりも未知の世界に向き合っているというような印象。高…

労基署の手抜き監督――チョロ監とキョロ監

少し前になりますが、求人詐欺・求人トラブルの今昔――労働条件明示義務違反というエントリーを書きました。このときは労基法15条(労働条件の明示義務)違反の推移について書きました。 ところで15条違反については、原[2017]に「ノルマ達成のためだけの監督…

コンビニの労基法違反率が高すぎる

コンビニに対して労基署が行った監督結果のまとめです。

東京労働局による過労死等発生事業場への監督

東京労働局は、過労死を出した事業場への監督結果を報道発表しているようですね。 過労死等を発生させた事業場への監督指導結果(平成27年度)を公表します | 東京労働局 東京都内において、「過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させたとして…

一言感想メモ(2018年冬アニメ)

順不同。最終話を迎えていないものは書いていない。 ヴァイオレット・エヴァーガーデン テレビアニメ史上最高の作画 からかい上手の高木さん 純度100%のニヤキュン 宇宙よりも遠い場所 南極が舞台の暖かいお話 3月のライオン 将棋というより人間ドラマ り…

2016年版『労働基準監督年報』比較

労働基準監督年報の最新版(2016年)がアップされました。 年度末(3月末)に前年度のものを公表することが続いているようなので、2年前の気がしますが、2016年版が最新年となります。 労働基準監督年報|厚生労働省 ただ、行政運営方針は年度ごとに策定され…

野村不動産の「特別指導」の件 覚書

「特別指導」と現行の公表制度 野村不動産の件は企業名公表制度とはそもそも別案件ではないかという話。 現行の公表の枠組みはこれ。 違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び…

「是正勧告してあげても」が威圧発言になる不思議

今年3月30日に行われた勝田東京労働局長と記者のやりとり(一部抜粋) 是正勧告したというのが、黒塗りになっているのはおかしいということですね。 鈴木部長「おかしいかどうかは分からない」 「通常は、是正勧告しても言えないです」 ――中身については、あ…

野村不動産への「特別指導」(続き)

なるほど、なんとなく分かってきた。 昨日書いたエントリー(是正勧告と指導の違い)では、なぜ違法があったと発表したのに是正勧告したことを認めたくないのかを、「指導」と「是正勧告」の違いから考えようとしましたが、そういうことじゃないようです。 …

是正勧告と指導の違い

臨検監督 労働基準監督官のメインの仕事は臨検監督に行くことです。 臨検監督は職場に立ち入り調査を行い、違反がないかチェックすることです。臨検とも呼ばれますし、その後の行政指導まで含めて監督指導と呼んだりします。 実際には細かい使い分けがあるの…

野村不動産への「特別指導」とは何ぞや

2017年の12月25日に東京労働局が野村不動産に対して「特別指導」を行いました。その翌日に「特別指導」を行ったことが公表されたのですが、実は同じ日に野村不動産での過労自殺が労災認定されていました。そしてこの労災認定の件は朝日新聞の報道があるまで…