前回のエントリーで企業規模別の非正社員率を見ました。せっかくですから、この20年でどう変化したのかを見てみたいと思います。
ところで、経済センサス(の前身である「事業所・企業統計調査」)は、「事業所に関する集計」と「企業に関する集計」の2つがあるのですが、かつては「企業に関する集計」は2種類の方法で行われていました。
(1)単独事業所及び本所事業所による集計と(2)名寄せ集計です。
(2)の方法だと、複数の事業所を持つ企業は、支所の調査票を本書の調査票に寄せ集めて集計しますが、(1)の方法ではそれをしません。
事業所・企業統計調査では、1975年までは(2)の方法で行われ、その後1978年、1981年、1991年調査では(1)の方法で集計されました。そして1986年、1996年の調査については(2)の名寄せ集計がなされています。
(1)の集計では支所・支社・支店については集計されないので、今回は名寄せ集計がなされた1996年の調査を用います。なお、1986年の調査だと、正社員・非正社員の区別がなされていません。
まず、1996年と2016年の企業規模別常用雇用者数です。
本ブログではすでに繰り返し書いていますが、この調査での常用雇用者とは、雇用契約期間が1か月以上(超)の人のことです。
すべての階層で常用雇用者数は増加しています。人口減少社会が到来したと言われていますが、この2時点での比較では、雇用者数は増えています。
とくに増加幅が大きいのは、「100~299人」「300~999人」「5000人以上」の層だと分かります。*1
この常用雇用者の増加幅を、正社員と非正社員に分けて表示したのが次のグラフです。
非正社員が増えたという報道はよく目にしますが、正社員が減ったというわけでは必ずしもありません。しかし正社員の増加数に比べると、非正社員の増加幅が圧倒的に多いのです。
規模別に見ると5000人以上の企業でそれが顕著です。100~4999人規模の企業では正社員の増加が一定見られるのに対して、5000人以上の規模だと増加数のほとんどが非正社員となっています。
もちろん、ある企業の雇用者数が変わると、その企業の従業員規模階層が自体が変わってしまうというのもありますし、そもそも中小零細企業だと正社員と非正社員の差が相対的に小さいというのもあります。
とはいえ、非正社員を多く増やしてきたのは大企業だということは、ひとまず言えるのではと思います。
*1:もっとも、元の調査のカテゴライズの仕方をそのまま使ってるからというのもあるが