最新版の『労働基準監督年報』がいまだ公開されていません。
ここで言っている最新版とは、平成29年版のことです。厚労省のページだと、執筆時現在、平成28年版までしか載っていません。
もちろん、現在がすでに令和の世になっていることは私も承知してますが、『監督年報』は平成30年版はもちろん、平成29年版も出ていないのですね。
昨年のときは、平成28年版が年度末にはアップされていました(平成29年の年度末=2018年3月末)。今年は遅れていますね。
この『監督年報』では、労働基準監督官の定員数や監督件数のデータを得ることができます。
監督官数等の年次推移については(当ブログでも書いてきましたが)、『季刊労働法』2019年夏号(265号)で、濱口桂一郎先生が一覧表を作っています。
以下に、1948年から毎年出されている『労働基準監督年報』に基づき、今日までの監督官数や監督件数、司法処分件数等のデータを一覧表にしておきましょう(文末)。
労働基準監督システムの1世紀@『季刊労働法』2019年夏号(265号): hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
さて、先に記したように、平成29(2017)年版以降の『監督年報』はまだ公開されていないので、この一覧表での最新年も2016年となっています。
……というだけであれば話は単純なんですが、実は2016年の監督官数は『監督年報』の数字とは違っているんですよね。
『季刊労働法』の記事だと、2016年の本省・局・署の監督官数はそれぞれ40、710、3,241となっています。
一方、平成28年版の『労働基準監督年報』では「全国の労働基準監督官数は2,923人」ということしか書かれていないんですね。*1
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kantoku01/dl/28.pdf
ここには「40、710、3,241」の数字は出てこないわけです。だから「『労働基準監督年報』に基づき」としか書いていないのは、出典としては不正確かと思います。
「3,241」のほうについては、タスクフォースで議論になったときに出てきたことがあります。この表には出てきませんが、議事録を読むと、平成29年度は3,291人であることも書かれています。
平成29年4月6日(木)第2回「労働基準監督業務の民間活用タスクフォース」厚生労働省説明資料
「40」「710」のほうは出てこないんですが。。。
*1:2,923人ってめっちゃ減ってるじゃん、というようなことについては過去に記事で書いたような気がします。監督官の数 再論 - ぽんの日記