ぽんの日記

京都に住む大学院生です。研究とは関係ないことも気ままに書いていきます

小坂流加『余命10年』

書店で目にして手に取った1冊。

 

買ってしまったのは著者プロフィールを見てしまったから。

本作の編集が終わった直後、病状が悪化。
刊行を待つことなく、2017年2月逝去。

 

本作の主人公は難病のために10年以上生きられないという設定。

難病や死を描く作品は、それもドラマチックに仕立てるようなものは色々あるけれど、本作の場合は著者自身が本当に亡くなっているという……。それがこの本を読んでみようと思わせたことでした。

 

そうであるがゆえに、どうしても作者と登場人物を重ねて読んでしまう。それがいけないわけではないでしょうが、作者と作品は別物で、作品は作品単独で評価すべきだろうとも思ってしまうので。いえ、本作は作者の事情なんか抜きにしても十分楽しめるものではあると思います。でも、本作のリアリティや説得力を高からしめているのも、作者が夭逝したという事実である気がする。

 

この手のタイプは純粋に小説として面白かった云々だけでなく、どうしても作品が書かれた事情を想像してしまう。このブログでも前に麻枝准さんのことを少し書きましたがが、どういう経緯で、どういう思いで作られたかということに、思いを馳せる形になる。

 

だから逆に言うと、作品単体としての評価がちょっとしにくい。

ただ、なんとなく個人的には、こんな風に作者その人のストーリーも込みで本を買う機会は今後増える気がする。

 

この時分、図書館でも中古本でも、あるいはフリマアプリとかで買って読むこともできる。安く済まそうと思えば手段は色々ある。その中でわざわざ書店で本を買うという行為は、純粋に読みたいからというだけでなくて、応援のような意味合いが含まれている気がします。

そうなると、やっぱり作者の人物を知って買うことが増えるのかな。もし人工知能が小説を書く時代になっても、こういう形態の購入は残るのだろうか。