『 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の先行上映会を拝見。
うむ。期待以上だった。
原作が京都アニメーション大賞を受賞したとのことで、あらかじめ読んでいたんだけど。
どんなアニメになるんだろうくらいの気持ちだったのに、京アニはどこに向かうんだくらいの期待度に膨らんだ(違う意味にとられそうな表現だけど、期待度は凄く上がってます)。
原作を読んだ時点で、アニメとして注目したいと思った点は大きく2点。
ひとつは、どんな作画になるか。作中では戦争が描かれる。戦闘の場面も出てくるし、割とグロい、エグイシーンも登場する。最近の京アニ作品は高校を舞台としたものが多い印象なので、こういったシーンを京アニはどう仕上げてくるか、という点。
もうひとつは、作品の中身というよりは、このアニメそのものの世界性。今回は架空の世界が舞台(雰囲気は大陸ヨーロッパ?)。で、netflixで世界同時配信という。先行上映会もすでにヨーロッパなどで行われている模様。明らかに世界市場を意識している。日本市場だけでなく、はじめから世界を相手にする。そういう象徴的な作品になるかもしれない。
・・・・・・そんなこととか考えてたんだけど、上映会見た後だと、もう、単に作品の続きが気になる。原作をこういう形で構成し直してきたか、という興奮が冷めやらない。
原作は、主人公のヴァイオレットが不思議・謎多き人物といった感じで登場して、徐々にその姿が明らかになっていく。そんな印象。
けれどアニメは、ヴァイオレットがどういう風に成長、あるいは変わっていくかというテーマ性がよりはっきり打ち出されているように思える。
そうしたテーマが顕になっているのは、自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)という仕事の描かれ方。簡単に言えば、タイプライターを用いた代筆業。タイピストと言えば、NHK朝ドラの『とと姉ちゃん』も連想するけれども、タイプライターを速く正確に打てるかどうかが重要なスキル。
けれど、アニメのほうだと、コミュニケーションスキルの必要性が強調されている。ヴァイオレットはタイプライターは使いこなせるけれども、感情のない人形のような存在。だから自動手記人形の仕事をこなしていくためには、内面性、精神世界を充実させていかねばならない。
少なくとも1話と2話を見る限り、挑んでいるテーマは、人間の感情とはどういうものか、愛とはなにかという、大きくて普遍性あるテーマ。2時間の映画では描けないような、1クールを通じての細やかな変化を描いていくのだろうと思われる。
そして2話目にしてすでにアニオリ要素が強い。原作がどう化けるか。原作を読んだからこそ余計気になる。そんな作品。