この前のエントリーで京都市人事委員会の是正勧告書を紹介したので、これを機会に労働行政で用いられている行政指導文書の様式や文書例を並べておきます。
前回記事
労働基準監督行政
日付が平成のままだとかいう野暮なツッコミはよしてくれ。一応最新のものを開示請求したんだ。
雇用均等関係
こちらは雇用環境・均等局。様式ではなく「記載例」が業務取扱要領で定められています。
指導文書ではないですが、まず報告徴収の実施の文書から。個別的報告徴収は基本的に事業所を訪問して行われますが、こうして抜き打ちでなく行うのが労基と違うところですね。
これとは別に「再度の報告徴収の実施についての事業主宛て文書」の記載例も用意されており、「拒否を明言した場合」「日程調整等に応じない場合」「事業所の訪問等には応じたものの一切の報告を拒否する場合」「報告徴収に一部応じない場合」の4パターンがあります。
そのほか報告虚偽の場合や過料事件通知書もあります。
雇用均等行政では助言→指導→勧告の順序が決まっており、指導以降が文書になります。法違反であっても最初は口頭での助言です。労基は法違反に対しては勧告、そうでないものは指導となるので、運営の仕方が異なっていますね。
助言は口頭で行われますが、行政手続法に基づいて書面の交付を求められた場合はそれに応じる必要があるので、その場合の記載例もあります。
指導書・勧告書の記載例は均等法第29条、育介法第56条、パート法第18条第1項のそれぞれが用意されていますが、ここでは育介法のものを載せておきます。
記書きで「是正すべき事項」と「講ずべき是正措置」の両方を示すタイプと、後者のみのタイプとがあるようです。
指導が行われても是正が認められない場合には勧告になります。
今度はパート法の例を。パート法の場合、第6条第1項違反については過料の規定があり、勧告書の段階でそれが知らされます。
パワハラ関係
雇用環境・均等局の仕事なので上と同じで良いんですが。
こちらでは「報告徴収」ではなく「報告の請求等」になっています。
紛争解決
上記とは別に、紛争解決援助として実施される労働局長の指導もあります。
なお、あっせんの開始通知書等は施行規則に様式が定められています。
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律施行規則 | e-Gov法令検索
あっせんではなく労働局長に行政指導を申出した場合は、次のようになります。「助言」や「指導」という点では同じですが、紛争解決援助なので労働者名が記されています。
紛争解決援助の申出は、上述した均等法関係の法律にもあります。個別労働関係紛争解決促進法の場合だと、労働契約法の条文や判例を示しながら行われていましたが、こちらは法違反が絡む場合もあるので、その際には助言の記載例にあるとおり「違反」を指摘しています。
また紛争解決援助の指導の場合は過料や企業名公表の措置は予定されていないので、当然ですがその旨の記載はありません。
その他
すまない。職安行政関係は開示請求していませんでした。
インターネット上で確認できる様式もあるようです。