ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

労働

神林龍「非正規の世界」

神林龍[2017]『正規の世界・非正規の世界』慶應義塾大学出版会の第4章「非正規の世界」について書きます。 本章での「無期非正社員」の描かれ方が気になったからです。 「無期」の用法 非正社員は無期雇用が多い? 雇用契約期間への関心

常用労働者の定義

常用労働者(常雇)、あるいは臨時雇、日雇をどうカテゴライズするかという定義の問題。 近年、統計の定義変更が行われたのでそれを確認する意味も込めてですが、古い定義も含めて見ておきます。 2種類の定義 労働力調査 事業所調査(毎勤、賃金センサス、経…

技能実習生の死亡事故

外国人技能実習生が3年で69人死亡していたというニュースがありました。 外国人実習生、3年で69人死亡 6人は自殺 法務省資料で判明(毎日新聞) - Yahoo!ニュース これに関しては、当ブログでも1か月くらい前に触れています。 技能実習生の失踪・労働災害 - …

技能実習制度の理念

新たな在留資格をめぐる入管法改正に絡んで、にわかに外国人実習制度にも注目が集まっている感がある。 この制度については、当ブログでもすでに少し取り上げたことがある。 技能実習の監督指導状況 - ぽんの日記 技能実習生の失踪・労働災害 - ぽんの日記 …

労災保険の適用拡大

労災保険は労働者を一人でも雇用する事業所であれば適用されます*1。 とはいえ、現在のように労災保険が全面適用されるようになったのは70年代の話で、かつては非工業的業種や零細事業は、加入義務はありませんでした。 全面適用へ 適用状況 出所についての…

業務上疾病と死亡

国が出すデータというものも、まず疑ってかからないいけないというのがデフォルトの心理状態になっている今日この頃。必ずしもウソをついている、偽装だ、ということではないんですが、この数字どこからどうやって出してるんだろういうのが少なくないという…

技能実習生の失踪・労働災害

技能実習生の失踪者が急増したことが話題となっているようなので、少し確認ということで。

「平均的な者」

田中重人先生の論文の中で、本ブログについて言及していただきました。 https://t.co/oYd3w1IxN4@noyutano @otsujikanako @mu0283 言及しておりますので、ご確認くださいますでしょうか。 — TANAKA Sigeto (@twremcat) November 1, 2018

労災保険加入率(都道府県別)

昨日の記事で業種別に労災保険の加入率を推計するという作業を試みました。 せっかくですので、それを都道府県別にも見てみました。 kynari.hatenablog.com

労基法の適用事業場・労働者数と労災保険の加入率

法律上だれが労働者になって、だれがそうでないか、みたいな話はとりあえず措いておきます。 単純に数の話です。適用事業場数と適用労働者数がどれだけか、と。

一斉監督、あるいは調査的監督など

労働基準監督機関(以下「監督機関」)による監督指導は定期監督と申告監督に大別できます。労働者からの申告に対応する形でなされる申告監督と違って、定期監督は監督機関の側が年次計画を立ててそれを実施します。 その際の監督計画は、大枠は厚生労働本省…

11月は○○月間

今さらも今さらですが、10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。ワーク・ライフ・バランスということで雇用環境・均等局が主管になってるんですね。2014年から10月をそのように定めているようです。 www.mhlw.go.jp なんというか監督行政関係だと、この手…

労働省 整理削減・再編等年表

記述はとくに断り書きをしていない場合は、全労働省労働組合『全労働運動史』第1巻(1981)および第2巻(1999)の記述に基づく。 閣議決定や方針については、その後必ずしもその通り実施されてはいない。 間違い・抜け等があればご教示お願いします。 監督署…

監督官の数 再論

労働基準監督官は一体何人いるのか。 単純な問いかと思われたはずですが、具体的に資料に当たっていくと意外とスッキリした答えは出ません。当ブログでもこれまで人数にについて取り上げたことがありますが、それを整理する意味でも改めて書き記しておきたい…

労災なのに労災補償を受けていない人の数

以前、労災保険の給付件数と労働者死傷病報告の件数を比較してみようと考えたことがありました。「労災隠し」(死傷病報告未提出)ではないけれど、労災保険は使わせてもらえてないケースの数、ということになるのでしょうか。 ただ、割と面倒くさそうだった…

統計調査業務

なにやら最近、国の統計の正確さに疑問を投げかけられることが増えた気がする。 それと関連してというわけではないが、労働行政の現場の職員たちが書いた手記を一部引用する。

村山由佳『風は西から』

もし私が独りで死んだら、どれくらいの期間気づかれずにおれるだろうか。部屋の中とか、森や山で死体が見つからないように死ねれば、あるいは……。夏休みの期間でバイトも事前に辞めておくなどすればなおのことだ。

常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』

この本の最大の難所は、著者が常見陽平であることだ。

労基の法違反是正効果

労働基準監督署が会社に是正勧告をする。その結果どれくらい法違反が是正されるのか。介入の効果は大きいのだろうか。こういうことってあまり関心を持たれないのでしょうか。 報道発表等で監督指導の集計結果が報じられるとき、違反率が何%だったのか、どん…

最低賃金の減額特例

2007年の法改正によって、最低賃金の適用除外の規定は減額特例へと変わったわけですが、具体的にどう変わってどんな影響をもたらしたのか、がよくわからない。

試験問題から見る労働問題(労働事情編)

昨日に引き続いて、労働事情編です。 2012年以降 2001~2011年 1997~2000年 1978~1996年

試験問題から見る労働問題(労働法編)

労働基準監督官試験の出題傾向を見ていくと、時代ごとのトピックの変遷がざっくり掴めるのではないかという、ちょっとした試みです。 ここでは多肢選択式ではなく記述式の問題を見ていくことにします。 監督官試験の記述問題は「労働法」と「労働事情」に分…

就業規則変更命令

労働行政が就業規則の指導に力を入れだすのは80年代ごろからと思われます。 1982年2月8日の日経産業新聞に「労働省、中小零細企業が多い第3次産業向け労務管理マニュアルやモデル就業規則作成。」と題された記事があります。 労働省は五十七年度から三カ年…

戦後日本の児童労働

普段このブログでは戦後のことしか書いていませんし、日本のことしか書いていませんが、表題に「戦後日本」と付けたのは、単に「児童労働」だと途上国か戦前の話だとイメージされてしまうだろうと思ったからです。

業種別の送検状況

以前こんなのを書いた。 サービス残業は送検されやすいか - ぽんの日記 司法処理基準 - ぽんの日記 これらを書いた際に、すでに業種別の送検状況についても書いた気でいたが、どうもそうでもなかったようだ。 そういうわけで、業種別。

家内労働監督

家内労働監督件数の推移です。 家内労働法も労働基準監督官が管轄するので、その実施状況が「労働基準監督年報」に記載されています。 通常の定期監督と家内労働監督は別建てで集計されています。

高野剛『家内労働と在宅ワークの戦後日本経済』

雇用類似の働き方とか、ギグエコノミーとか、フリーランスの働き方が注目を集めている。 監督行政を調べた身としては家内労働法とかが連想されるのだけれど、これも本格的な研究は多くないように思われる。 そんななかで高野剛『家内労働と在宅ワークの戦後…

東京新聞 労災担当官削減の報道について

いくらかの憤懣とやるせなさを込めて書く。 東京新聞の報道についてだ。 この図が報道を要約している。 この配置換えに対しては、労災業務の人員、あるいは監督業務と労災業務の合計人員が減ることに批判が出ている。 しかし私が嘆息したのはそこではない。…

久本憲夫『新・正社員論』

副題は「共稼ぎ正社員モデル」。 「共働き」ではなく「共稼ぎ」としているのは、家事や育児も責任を伴う仕事なわけだから、家庭外で働いていなかったとしても「労働」はしている、という考え方をしているため。 いろいろ考える材料は提供してくれているので…

非常災害時の時間外労働

普通、法定労働時間を超えて働かせるためには36協定の締結が必要となります。 しかし災害等の緊急の場合には、残業や休日労働が必要になっても36協定を結ぶヒマがないこともあるでしょう。そこで労基法33条では、そのような場合に限って時間外労働を命令でき…